仮定法では「時制が過去にズレる」というのが核心です。
前回、これが全てだという説明をしました。
まだ読んでいないという方は、まずはこちらをご覧ください。
今回は、なぜ時制が過去にズレるのか?
その理由を説明していきます。
【0】動画で解説
【1】仮定法の核心:時制がズレる
結論から言いましょう。
『現実と離れていることを明示するため』
これが仮定法で、時制が過去にズレる理由です。
これだけだと、あまりピンときませんね。
詳しく説明していきましょう。
まずは、例文で確認です。
例 If I were a bird,I could fly to you.
「もし私が鳥ならば、あなたの元に飛んでいけるのに」
これは現実から離れた話ですよね。
鳥であるはずもないし、とんでもいけません。
よって、仮定法です。
つまり、時制がひとつ過去にズレます。
am ︎ were
can fly ︎ could fly
このように仮定法では、時制がひとつ過去にズレるんです。
学校では、これを公式で覚えるよう強要される話はしましたね。
前回から読んでいる人には、しつこいですが、
仮定法はとにかく「時制がズレる」とだけ覚えておくだけでいいんです。
【2】過去形の核心
では、ここからが本題です。
「なぜ、仮定法では時制が過去にズレるのか?」
これを理解するには、過去形について理解している必要があります。
今さら過去形と思うかもしれませんが、意外と理解している人が少ないんです。
過去形の核心は「離れている」です。
こちらに関しては、現在完了形との違いのところで詳しく説明していますので、
こちらをご覧ください。
ここまでをもう一度まとめましょう。
「なぜ仮定法では時制が過去にズレるのか?」って話でした。
そして、その鍵を握る過去形の核心は「離れている」でしたね。
どうでしょうか?
もうピンと来ている人もいるのではないでしょうか?
仮定法は「現実と離れていること」を表すんですよね。
この「離れている感」を明示するために、「離れている」が核心の過去形を使うわけです。
☆ポイント☆
過去にズレる理由:現実から離れていることの明示
【3】日本語は空気を読む言語
ところで、今回の例でもそうですが、「英語ってすごい厳密だなぁ」って思いませんか?
どういうことかって?
例えば、僕が次のように質問したらどうでしょうか?
「もし幽霊がいたらどうする?」
どうでしょう?
これを僕は本気で言っていると思いますか?
あるいは、冗談で言っていると思いますか?
わからないですよね。
僕の普段の言動やその場の空気を読んで判断すると思います。
例えば、僕が普段から幽霊の話をしていたら、本気だと思うかもしれません。
でも、普段そういう話をしていないのであれば、冗談だと判断するかもしれませんよね。
このように日本語って、空気を読む文化から生まれた言語なのです。
聞き手側が、空気を読みながら本気か冗談かを判断するわけです。
そういう意味で、日本語は聞き手側に負担がある言語と言えます。
【4】英語は空気を読まない言語
一方、英語はどうでしょうか?
次のそれぞれの文は本気でしょうか、冗談でしょうか?
⑴ If there were ghosts,what would you do?
⑵ If there are ghosts,what will you do?
どうでしょうか?
今回は日本語と違って明らかですね。
⑴は時制がひとつ過去にズレているので、仮定法です。
つまり、⑴は冗談で言っているとわかります。
一方、⑵は仮定法ではないので、本気で言っているとわかります。
このように、英語では、本気か冗談かをしっかりと伝える言語なんです。
よって、日本語とは違い、発言者側に負担がある言語と言えます。
【5】文化背景の違い
なぜ、英語は今回の例のように厳密になるのか?
これは文化背景が原因です。
日本語を使うのは、日本人しかいませんよね。
だから、別に空気を読むことができます。
だから、発言者がどう言おうが、聞き手側は空気を読みながら理解できるのです。
一方、英語はさまざまな文化を持った民族の人によって話されてきた言語です。
空気を読むというのは困難です。
民族が違えば、文化が大きく異なることは珍しくありません。
よって、空気を読むという発想がなく、なるべく正確に伝える必要があったのです。
このように言語を学びながら、それぞれの時代背景を学ぶこともできるわけです。
これが言語を学ぶ理由のもう一つの理由なのかもしれません。
【6】☆ まとめ ☆
①仮定法の核心:「時制が過去にズレる」
②なぜ過去にズレる→現実から離れていることの明示
③過去形の核心:「離れている」
④英語が厳密なのは、空気を読めないから。