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【0】動画でサクッと解説
英語には、ちょっとした違いに見えて、実は大きな意味の差がある表現がいくつもあります。
その代表例のひとつが、
at a cost of
at the cost of
学校ではどちらも「~の費用で」「~を犠牲にして」と習うかもしれません。
ですが、この2つを「なんとなく」で使い分けているうちは、TOEICや英文読解でも意味を取り違える危険性があります。
本記事では、丸暗記ではなく、「a」と「the」がもつ感覚=“冠詞のものの見方”から、この違いを根本から理解していきましょう。
【1】「a」は「なんかの〜」=ただの費用

まずは 「at a cost of」。
これはシンプルに「ある費用で」「〜円かけて」という意味で使われます。
The project was completed at a cost of $2 million.
(そのプロジェクトは200万ドルの費用で完成した。)
ここでの「a」は、不特定の費用の1つを表しているだけ。
「ただのお金の話」であり、犠牲になったわけではありません。
つまり、「a cost」は「お金を払った」という事実ベースの中立表現です。
【2】「the」は「それ!」=失った“代償”

一方で 「at the cost of」 は、まったく違う意味合いになります。
He achieved success at the cost of his health.
(彼は健康を犠牲にして成功を手に入れた。)
ここでの「the」は、「それと引き換えに」という意味を含みます。
“その代償として”何かを得たという、ネガティブで重い感情を含んでいるのです。
感覚でまとめると:
・「a cost」=普通のコスト(お金など)【経済活動】
・「the cost」=代償、失ったもの【苦渋の選択】
【3】たとえ話でイメージする

たとえば、あなたが何か高い買い物をしたとしましょう。
・at a cost of 10万円 → ただの値段。冷静な買い物の話。
・at the cost of 家族との時間 → 「その買い物のせいで家族の時間を失った」という犠牲。
the になるだけで、文章にドラマが生まれるのです。
【4】TOEICではどっちがよく出る?

TOEICでは圧倒的に「at a cost of」の方が出ます。
たとえば説明文や会社の報告書の中で、
The system was installed at a cost of $50,000.
のように、金額と一緒に客観的な費用を述べるケースが多いです。
一方「at the cost of」は、TOEICでは出にくいですが、英文読解やエッセイ・ライティングでよく見かける表現です。文脈の読み取りが求められます。
【5】なぜ冠詞だけで意味が変わるの?

ここが本質です。
・a は「どれでもいい1つ」=中立的なもの
・the は「それ!」=話し手も聞き手も知っている“具体的な何か”
英語は「どの程度“特定されているか”」を非常に大事にします。
その意識があるから、「a cost」なら一般的な話に、
「the cost」なら“あの代償”と指を差すような重みが出てくるのです。
【6】☆ まとめ ☆
・at a cost of :~の費用で (中立、事実の説明)
・at the cost of: ~を犠牲にして (感情を含む代償の表現)
冠詞の違いは、単なる文法ルールではありません。
それは、「英語がどのように世界を見ているか」という思考の現れです。
訳語を暗記するのではなく、英語のものの見方に近づくことで、本当の理解と運用力がついていきます。
このように、英語の意味は「細かい文法」ではなく、「細かい視点の違い」から生まれます。
引き続き、英語の“感覚”を意識して学習を進めていきましょう!
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