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【1】「break」は「壊す」だけじゃない

「break」のコアイメージは、「ある一つのまとまりや連続した状態を壊して、分断すること」にあります。このイメージをもとに、具体的な意味を解説します。
他動詞
1. 壊す, 割る, 折る
物理的な対象を壊す、割る、折る動作です。たとえば、ガラスや木の枝を割る行為。
He broke the vase.
(彼は花瓶を割った。)
2. 無理にあける
閉じられたものを強引に開ける、つまりその閉じた状態を「壊す」という感覚です。
The police broke the door open.
(警察はドアをこじ開けた。)
3. 役に立たなくする
機械やシステムなどを壊して、正常に機能しない状態にすることです。
The computer broke down after the update.
(アップデート後、コンピュータが故障した。)
4. 中断する
継続していたものを一時的に止める、またはその流れを壊すことです。
Let’s break the meeting for lunch.
(昼食のために会議を中断しましょう。)
5. 破る
規則や約束を守らずに破るという意味で、ルールや秩序を「壊す」ことです。
He broke the law.
(彼は法律を破った。)
自動詞
1. 壊れる
物が自然に壊れること、つまり元の形や状態が失われることを指します。
The glass broke when it fell.
(ガラスは落ちたときに割れた。)
2. 故障する
機械やシステムが壊れて機能しなくなることです。
The car broke down on the way.
(車が途中で故障した。)
3. 中断する
ある活動や流れが自然に途切れることです。
The conversation broke off suddenly.
(会話が突然途切れた。)
4. 急に現れる
急に何かが表面に現れる、つまりその状態を「壊して」出てくることです。特に天気や状況の変化に使われます。
The sun broke through the clouds.
(太陽が雲の間から現れた。)
名詞
1. 小休止, 休憩
一連の作業や活動が一時的に「壊れる」、つまり途切れることで、休憩を意味します。
Let’s take a break.
(休憩を取りましょう。)
2. (授業間の)休憩(時間)
授業や仕事の連続が「壊れる」ことで、休憩時間として利用されます。
Students usually chat during the break.
(生徒たちは休憩時間におしゃべりをする。)
3. 中断
文章が途中で途切れているため、完全な解釈が難しいですが、「break」は何かの「中断」を意味することがあります。
The power outage caused a break in the broadcast.
(停電が放送の中断を引き起こした。)
【2】“break” を使った重要な句動詞

“break” は前置詞や副詞と組み合わせて句動詞を形成します。以下は覚えておきたい “break” を使った句動詞です。
1. break down
「故障する、感情的になる」
My car broke down on the highway.
(私の車が高速道路で故障した。)
She broke down in tears.
(彼女は泣き崩れた。)
成り立ち: break(壊す)+ down(下に) → 物が壊れて下に崩れ落ちるイメージから、機能が失われたり、感情的に耐えられなくなることを表す。
2. break into
「侵入する、急に~し始める」
The thief broke into the house last night.
(昨夜、泥棒が家に侵入した。)
He broke into laughter during the meeting.
(彼は会議中に急に笑い出した。)
成り立ち: break(壊す)+ into(中に) → 何かを壊して中に侵入するイメージから、強制的な侵入や突然の行動を表す。
3. break out
「勃発する」
A fire broke out in the building.
(ビルで火事が発生した。)
成り立ち: break(壊す)+ out(外に) → 内部から外に何かが飛び出すイメージで、突然の出来事や勃発を表す。
4. break up
「別れる、解散する」
They broke up after three years of dating.
(彼らは3年の交際の後に別れた。)
The meeting finally broke up at midnight.
(会議はついに真夜中に解散した。)
成り立ち: break(壊す)+ up(バラバラに) → 一つのものが壊れてバラバラになるイメージから、関係や集まりが解散・終了することを表す。
5. break through
「突破する、進展する」
The scientists finally broke through the problem.
(科学者たちはついにその問題を突破した。)
成り立ち: break(壊す)+ through(通り抜ける) → 障害を壊して通り抜けるイメージで、困難を乗り越えて進展することを表す。
6. break off
「中断する、終わる、取れる」
They broke off the negotiations.
(彼らは交渉を打ち切った。)
成り立ち: break(壊す)+ off(離れて) → 何かが壊れて離れるイメージから、関係や交渉が中断することや、物が取れることを表す。
7. break away
「逃れる、離れる」
He broke away from the group to start his own business.
(彼はグループから離れて、自分のビジネスを始めた。)
成り立ち: break(壊す)+ away(離れて) → 束縛や制約を壊して離れるイメージで、何かから逃れることを表す。
8. break in
「割り込む、慣らす」
He broke in while I was talking.
(彼は私が話している途中で割り込んできた。)
You need to break in new shoes gradually.
(新しい靴は徐々に慣らす必要がある。)
成り立ち: break(壊す)+ in(中に) → 強引に中に入るイメージで、会話に割り込むことや、新しいものに慣れることを表す。
9. break out of
「脱出する、逃げ出す」
The prisoner broke out of jail.
(囚人は刑務所から脱走した。)
成り立ち: break(壊す)+ out of(外に出る) → 閉じ込められた場所を壊して外に出るイメージで、脱出することを表す。
10. break even
「損益がトントンになる」
After months of hard work, the company finally broke even.
(数ヶ月の努力の末、会社はようやく損益がトントンになった。)
成り立ち: break(壊す)+ even(均等に) → 損失と利益が壊れて均等になるイメージで、損益がプラスマイナスゼロになることを表す。
【3】おわりに
“break” という一語に、これだけ多様な表現と意味があることに驚かれたかもしれません。
ですが、ここで大切なのは、それらを一つひとつ丸暗記することではありません。
意味の広がりや成り立ちを理解することで、自然と文脈に合った解釈ができるようになります。
「なぜこの表現では“break”が使われているのか?」という視点を持ち、イメージで捉えることが、英語を使いこなす力に直結します。
英語は暗記するものではなく、理解して運用するもの。
“break” の学習を通じて、その実感を深めていただけたなら幸いです。
ここまで読んで頂きありがとうございます。普段から予備校・ブログで「丸暗記英語からの脱却」をコンセプトに指導・発信しています。新しい情報に関してはTwitterで確認ができますので、鬼塚英介(@Englishpandaa)をフォローして確認してみてください。
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