この記事は、次のような方に向けた記事です。
- 受験英語なんて勉強しても、実際には使えないから勉強する気が起きない受験生。
- 生徒から「受験英語なんて無駄」と言われて、良い返しが思い浮かばない講師。
こういった悩みを解決していきます。
最初に僕の自己紹介をすると、高校はバカ高を卒業し、当時の英語の模試の偏差値は39でした。そこから、浪人1年間の猛勉強の末に偏差値70を超えました。
大学入学後から塾や家庭教師でアルバイトを始め、現在は予備校や塾や家庭教師をしています。
このような自身の経験に基づいて、本音で書いていきます。
【1】受験英語ができても、英語は話せない
まず、結論から言いますと、受験英語ができても、英語を話せるようにはなりません。
受験英語と英会話は、はっきり言って別物です。もちろん同じ英語ではあるのですが、そもそも使う能力が異なります。
受験英語ではリーディング力とライティング力が求められるのに対して、英会話ではリスニング力とスピーキング力が必要です。
このように、同じ英語ではあれど、そもそも必要な力が異なるのです。
もちろん、受験英語の知識があった方が、英会話の能力も伸びやすいです。ただし、受験英語ができるから、すぐに英語を話せるというわけではないのです。
受験英語とは別に、英会話の勉強をする必要があります。
【2】僕の体験談
実際、僕も英会話は今でも苦手です。もちろん、ほかの一般の人に比べれば、英語を話すことも聞き取ることもできます。でも10年以上、受験英語を指導してきても、完璧とは言えないのです。
これは、お恥ずかしい話ですが、数年前に、外人が予備校にやってきて道を尋ねられたときに、数学の先生に助けを求めるという大失態をおかしたこともあります。
このように、受験英語ができるからといって、すぐに英会話ができるわけではありません。
【3】論理的に正解を導くプロセスを学ぶ
では、受験英語は無駄なのか?って話です。
結論から言うと、決して無駄ではありません。
受験英語をちゃんとやった方が、英会話がスムーズに勉強できるとか、そういう話ではありません。
では、受験英語は何に役立つのか?ズバリ、人生に役立ちます。
受験英語は人生に役立つ
受験英語に限ったことではありません。すべての勉強が人生に役立つのです。
社会に出ると本当の正解はありません。でも、歴史を振り返ると、より正解に近い選択肢があることがわかります。
受験勉強という答えのある世界で、論理的に正解を導くプロセスを学んでいるのです。いわば、僕たちは小学生の頃から、科目の違いはあれど、ひたすら、この能力を磨いてきたわけです。
ですから、英語や数学なんて大人になって使わないっていう話は問題外なのです。たしかに、その知識自体は使わないかもしれません。でも、論理的に正解を導くプロセスは社会になってからも使う能力なのです。それをまずは、答えのある世界で訓練しているわけです
【4】抽象化能力を鍛える
僕は、この能力を磨きあげるために、次の2つのことを意識して指導しています。
・抽象化能力を鍛える
・論理的に正解を導けるようにする
抽象化とは、 「他との共通点に着目し、一般的な観念にまとめること」 です。
この能力を使う事で、初見の問題を解く事ができるのです。この能力が欠けてしまえば、自分の知識と全く同じ問題ができないと解けない事になります。
具体例を挙げましょう。
[問題]
He proposed that the library ( ) built.
①was ②is ③are ④be
(彼は図書館の建設を提案した)
答えは、④になります。ここでやってはいけない考え方は、「proposeのthat節の中身は原形」と覚えてしまう事です。
こういう覚え方をすると、無限にある動詞をそれぞれ覚える事になってしまいます。そこで次のような抽象化した知識があるのです。
「提案・主張・要求・命令・決定のVのthat節の中身は、(should)原形」
こうすれば、覚える知識が格段に減ります。これこそが抽象化です。僕の場合は、さらにもう一歩、抽象化して、
「命令系のVのthat節の中身は、(should)原形」
と教えています。どういうことかというと、例えば、「明日5時に起きることを提案する」というのは弱い命令です。一方「5時に起きることに決定ね」は強い命令です。
このように、右に行くほど強い命令に変わります。なるべく抽象化する事で、覚える知識を最小限にして応用が効くようにする。
また、今回は、これがメインではないので話しませんが、これに加えて、しっかりと理屈も付けて知識を与えることにしています。理解が加わった方が、知識を柔軟に使えますからね。
こうやって、抽象化能力を鍛えていくことが、社会に出てから、論理的により正解に近い選択肢を選択できるのです。
【5】論理的に正解を導けるようにする
社会に出ると、絶対の正解の選択肢なんてありません。すべてが三角の選択肢と言えます。完全に丸の選択肢も無ければ、完全にバツの選択肢なんてないのです。
一方、受験は正解と不正解がきっちりと分かれています。受験は社会への準備なのです。答えのある世界で、より論理的に正解を導く力を身につけるのです。
もちろん、社会に出ると完全に正解の選択肢なんてありません。でも、時代を振り返ると、より正解に近い方の選択肢があった事がわかります。だからこそ、答えのない世界で論理的に正解に近い方の選択肢を選ぶ訓練を受験で学んでいるのです。
【6】まとめ
以上、「受験英語は無駄」という世間の意見とは、全く逆の立場から、書いていきました。
もちろん、講師の立場だから、そんな事を言うのだと言われるかもしれませんが、上記に挙げた理由を聞いていただければ、「受験英語は無駄ではない」ということに納得できるのではないでしょうか?
☆ まとめ ☆
・受験英語は無駄ではない
・受験英語社会へ出る前の準備期間
・受験英語により「抽象化能力を鍛える」「論理的に正解を導ける力を鍛える」