【1】再帰代名詞の慣用表現〈前置詞+oneself〉
再帰代名詞の慣用表現は、大きく次の2つに分かれます。
・前置詞+oneself
・動詞+oneself
上記のとおり。
まずは、〈前置詞+oneself〉の慣用表現から見ていきましょう。
・by oneself:「一人で;自分の力で;ひとりでに」
・for oneself:「自分のために」
・in oneself:「それ自体は;本来は」
・beside oneself:「われを忘れて」
・in spite of oneself:「思わず」
・between ourselves:「ここだけの話だが」
・to oneself:「独占して;心の中で」
・of oneself:「ひとりでに」
上記のとおり。
ひとつひとつ説明していきますね。
・by oneself:「一人で;自分の力で;ひとりでに」
I went to New York by myself.
(私は一人でニューヨークに行った)
byの核心は「そば」なので、「そばに自分だけ」→「一人で」って意味になります。
また、aloneとの違いは、by myselfは「自力で」って意味で、aloneは「単独で」って意味です。
ちなみに、aloneには寂しい気持ちが含まれていると勘違いされがちですが、実際には、そのようなニュアンスはありません。寂しさを感じさせるのは、lonelyです。
・for oneself:「自分のために」
He built a new house for himself.
(彼は自分のために新しい家を建てた)
forの核心は「意識の向く先」なので、「自分自身に意識を向けて」→「自分のために」って意味になります。
・in oneself:「それ自体は;本来は」
Carbon dioxide is not poisonous in itself.
(二酸化炭素はそれ自体は有毒ではない)
inの核心は「ワクの中」なので、「二酸化炭素のワクの中では有毒ではない」→「二酸化炭素それ自体は有毒ではない」って感じです。
・beside oneself:「われを忘れて」
She is beside herself with anger.
(彼女は怒りで我を忘れている)
beside oneselfは〈beside oneself with〜〉の形で「~で我を忘れて」って意味で使われることが多いです。
besideの核心は「〜のそば」→「〜から外れて」って意味になり、直訳すると「〜を持って自分自身から外れて」→「〜でわれを忘れて」つて意味になります。
・in spite of oneself:「思わず」
She smiled in spite of herself.
(彼女は思わずほほえんだ)
直訳すると「自分の(意識)にかかわらず」「思わず」って意味になります。
・between ourselves:「ここだけの話だが」
, he is rather stupid.
(ここだけの話だが、彼はかなり愚か者だ)
直訳すると「私たちの間で」→「ここだけの話だが」って意味です。
・to oneself:「独占して;心の中で」
He has a room to himself.
(彼は部屋を独占している)
He said to himself, “That’s a good idea.”
(“それはいい考えだ“と彼は心の中でつぶやいた)
・of oneself:「ひとりでに」
The car started to move of itself.
(車はひとりでに動きだした)
of oneselfは現代ではあまり使われていなく、同意表現のby oneselfがよく使われています。
【2】再帰代名詞の慣用表現〈動詞+oneself〉
では、次は〈動詞+oneself〉の慣用表現です。
・behave oneself:「行儀よくする」
・enjoy oneself:「楽しく過ごす」
・seat oneself:「座る」
・help oneself to ~:「~を自由に取って食べる」
・avail oneself of ~:「~を利用する」
・dedicate oneself to ~:「~に身を捧げる」
・devote oneself to ~:「~に没頭する」
・pride oneself on ~:「~を誇る」
・excuse oneself:「言い訳する」
・adapt oneself to ~:「~に順応する」
上記のとおり。
ひとつひとつ解説していきますね。
・behave oneself:「行儀よくする」
Behave yourself in company.
(人前では行儀よくしなさい)
behave は、もともと「完全にコントロールする」という意味があります。なので、直訳すると、「自分自身を完全にコントロールする」→「行儀よくする」って意味です。
※語源:be=完全に、have=支配する
・enjoy oneself:「楽しく過ごす」
She enjoyed herself on vacation.
(休暇中に彼女は楽しく過ごした)
よくやってしまう間違いは、“She enjoyed.“って書き、これで「彼女は楽しんだ」って考えてしまいがちです。
ただし、enjoyは他動詞なので、目的語が必要でなので、enjoy oneselfという形を取ります。
・seat oneself「座る」
I seated myself on the chair.
(私は椅子に座った)
sitは自動詞で「座る」であり、seatは他動詞で「座らせる」って意味です。なので、seat oneselfは「自分自身を座らせる」→「座る」って意味になります。
ちなみに、深い話にはなりますが、次のような違いがあります。
・I seated myself on the chair.
(私は椅子に座った)[動作]
・I was seated on the chair.
(私は椅子に座っていた)[状態]
・help oneself to ~:「~を自由に取って食べる」
Please help yourself to the cake.
(ケーキを自由にとってお食べ下さい)
・avail oneself of ~:「~を利用する」
We should avail ourselves of this privilege.
(この特典を利用すべきだ)
これは熟語で覚えた方が手っ取り早いのですが、一応、なぜこの意味になるのか解説します。
avail oneself of〜で 「〜で自分に利益を得させる」→「〜を自分に役立たせる」 →「〜を利用する」という意味になります。
・dedicate oneself to ~:「~に身を捧げる」
He dedicated himself to helping the poor.
(彼は貧しい人々を救う事に身を捧げた)
直訳は「自分自身を〜に捧げる」って意味です。
また、このtoは前置詞のtoなので後ろには「名詞(動名詞を含む)」がきます。
・devote oneself to ~「~に没頭する」
He devoted himself to reading books.
(彼は読書に没頭した)
devote oneself to ~ =dedicate oneself to ~って考えてOKです。
・pride oneself on ~:「~を誇る」
He prides himself on his success.
(彼は自分の成功を誇っている)
ちなみに、このonは「関連のon」です。「彼は自分自身を誇りに思っている。彼の成功に関してね」って感じです。
・excuse oneself:「言い訳する」
He excused himself for his rudeness.
(彼は自分の無礼を言い訳した)
excuseは「許す」って意味なので、「自分自身を許す」→「言い訳をする」って意味になります。
・adapt oneself to ~:「~に順応する」
I adapted myself to the new environment.
(私は新しい環境に順応した)
ちなみに、oneselfを省略して、〈adapt to〜〉でもOKです。
・その他の〈動詞+oneself〉
最後にほとんど出てこない〈動詞+oneself〉をざっと紹介します。(※無理して覚える必要はないです)
・apply oneself to ~「~に専念する」
・collect oneself「心を落ち着かせる」
・flatter oneself「うぬぼれる」
・kill oneself「自殺する」
・amuse oneself「おもしろがる」
・present oneself at ~「~に出席する」
・absent oneself from ~「~に欠席する」
・engage oneself to ~「~と婚約する」
・adjust oneself to ~「~に順応する」
・occupy oneself with ~「~で忙しい」
・bring oneself to do「~する気になる」
上記のとおり。
【3】まとめ
以上、「再帰代名詞の慣用表現」について解説していきました。
再帰代名詞の慣用表現は、たくさんあって大変ですが、試験では覚えているだけで得点できることも多いです。
また、今回のブログ記事のように慣用表現は「直訳」して理解して覚えれば劇的に覚えやすくなるものです。
他の記事でも「丸暗記英語からの脱却」をコンセプトにした解説をしていますので、ご参照ください。
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