公式問題集を3周しても、対策本を5冊やっても、スコアが変わらない。
——その伸び悩み、原因は「努力の量」ではなく「努力の向き」にあります。
予備校講師・英語学習コーチの鬼塚 英介です。
TOEICのご相談をいただく方の中で、いちばん多いのが、このパターンです。
「公式問題集を、もう何周もやりました。」
「対策本も、何冊も持っています。」
「単語帳も、最後までやり切りました。」
「……でも、スコアが伸びません。」
努力しています。サボっているわけではない。むしろ、真面目すぎるくらい。なのに、点数が動かない。
なぜでしょうか。
今日は、その答えをお伝えします。
Contents
こんな経験、ありませんか
まずは、ご自身に当てはまるものがあるか、確認してみてください。
- 公式問題集を3周したのに、スコアが変わらない。
- 単語帳を2冊覚えたのに、長文を最後まで読み切れない。
- 対策本の解説を読めば「なるほど」と思うのに、本番では同じように解けない。
- リスニング対策をやっても、音が頭に入ってこない。
どれか一つでも当てはまった方は、続きを読んでください。
これは、能力の問題ではありません。勉強の「順番」の問題です。
なぜ、対策本では伸びないのか
少し厳しい言い方になりますが、事実としてお伝えします。
世の中に出ているほとんどのTOEIC対策本は、「英語力そのもの」をつける構造にはなっていません。
たとえば、長文問題の解説を開いてみてください。多くの本では、設問の答えにあたる箇所を日本語に訳して見せてくれます。「ここがこういう意味だから、答えはB」というふうに。
これは解説としては正しい。けれども、「なぜそう読めるのか」という英語そのものの読み方のロジックは、ほとんど示されません。
だから、設問が変わるたびに、また一から考え直すことになる。
知識が積み上がっていかないんです。
「解説」と「体系」は、イコールではありません。
これが、対策本の構造的な限界です。対策本が悪いわけではない。ただ、対策本だけでは、英語力という土台は作れない構造になっている、ということです。
伸び悩みの本当の原因 ——「土台」の不足
ここからが本題です。
スコアが止まる本当の原因は、対策の不足ではありません。「英語の土台」の不足です。
土台というのは、具体的には3つあります。
1. 単語(語彙の量)
意味を知っている語彙の総量。これは入り口です。語彙が足りなければ、当然、文は読めません。
2. 文法(語と語をつなぐルール)
単語と単語を、どういうルールで組み合わせて意味を作るか。文法書を1周することではなく、ルールが「使える」状態になっていることが重要です。
3. 構文把握(一文の骨格を見抜く力)
そして、ここがいちばん多くの方が見落としているところです。
一文を見たときに、その骨格——主語はどれで、動詞はどれで、修飾しているのはどれか——を瞬時に掴む力です。
この3つが揃って、初めて英文を読む力になります。
逆に言うと、どれか一つでも欠けていると、いくら問題演習を積んでも、抜けたところから漏れ続けるんですね。
単語を覚えても、構文が見えなければ読めない
具体例を一つ出させてください。
The report sent to the manager yesterday contained errors.
単語は、おそらく全部知っていると思います。
report、sent、manager、yesterday、contained、errors。
中学レベルの単語です。
でも、ここで「sent」が動詞なのか、それとも分詞なのか。これが瞬時に判断できないと、この文の構造は崩れます。
正解は、分詞です。
「昨日マネージャーに送られた報告書には、誤りが含まれていた」となります。
単語を知っているだけでは、英語は読めない。
必要なのは、受験用の細かすぎる構文書ではなくて、英文の骨格を瞬時に掴む力です。ここを鍛えないと、長文は最後まで攻略できません。
そして、これが大事なのですが——
目で見て読めない英文は、耳から流れたら、なおさら分かりません。
リスニングというのは、音として入ってきた英語を、頭の中で文として組み立てて、意味に変換する作業です。
目で見ても組み立てられない文を、音だけで処理するのは不可能に近い。
リスニングのスコアが伸びない方も、原因はリスニング教材の不足ではなくて、たいていの場合、リーディングの土台の不足です。
リスニング対策をいくら積んでも、土台が同じなら、上限も同じ。
ここは覚えておいてください。
問題を解くだけでは、英語力は伸びない
ここで、もう一つ、はっきりさせておきたいことがあります。
問題演習で身につくのは、「解き方の慣れ」です。
設問形式、時間配分、選択肢の癖。これらは、確かに少しはスコアを動かします。否定はしません。
しかし、問題演習だけでは、「英語そのものの力」はつきません。
語彙、文法、構文。
本文を読み解く力そのものは、問題を解いている時間では育たないんです。
「慣れ」で取れる点には、必ず天井があります。
多くの方が、その天井に当たって止まっています。
TOEICは、英語力を測るテスト
ここで、一度、原点に戻ります。
TOEICというのは、そもそも何のテストでしょうか。
「英語力」を測るテストです。
当たり前のように聞こえるかもしれません。でも、これを忘れて「TOEIC対策のためのテクニック」ばかり追いかけてしまう方が、本当に多いんです。
そして近年のTOEICの傾向を見ても、テクニックよりも、英語そのものの理解力を問う方向に明らかにシフトしています。
「攻略法」だけで突破できる時代は、終わりつつあります。
英語力を上げる以外に、本質的な近道はありません。
正しい順序 —— 4つのステップ
では、具体的にどうすればいいのか。
私が指導の現場でお伝えしているのは、シンプルな順序です。
| STEP | やること | 目的 |
|---|---|---|
| STEP 1 | 単語 | 語彙の量を確保する |
| STEP 2 | 文法 | 語と語をつなぐルールを身につける |
| STEP 3 | 構文把握 | 一文の骨格を見抜けるようにする(最重要) |
| STEP 4 | TOEIC対策 | 問題形式に慣れ、時間配分を最適化する |
ポイントは、「順番」です。
土台ができてから「対策」を入れる。
この順番で進めて初めて、努力が点数に変わります。
逆をやっている方が、本当に多い。
STEP 4から始めて、STEP 1〜3が抜けている。
だから伸びないんです。
発想を、ひっくり返す
ここで、発想を一つひっくり返してほしいんです。
今までは、「TOEICのための勉強」をしてきた、という方が多いと思います。
設問のパターンに最適化しようとする発想です。
これを、「英語を理解する勉強」に切り替える。
英語そのものの力を上げる発想に変える。
土台作りは、一見、遠回りに見えます。
「点数に直結しないのでは」と感じるかもしれません。
でも、結果として、こちらのほうが最短ルートになります。
誤解しないでください。
私は、対策を否定しているわけではありません。対策は必要です。
ただ、「順番」を正しい場所に戻したいだけなんです。
まとめ
今日のお話を、3つにまとめます。
- 伸び悩みの本当の原因は、対策の不足ではなく、土台の不足。
- 学習の順序は、単語 → 文法 → 構文把握 → そしてTOEIC対策。
- 正しい順序で進めれば、誰でも必ず伸ばせる。
「対策の前に、英語そのものを。」
これが、今日いちばんお伝えしたかったことです。
「順番を、正しい場所に戻したい方へ」
ここまで読んでくださった方は、おそらく、こう感じていらっしゃるはずです。
「順番が大事なのは分かった。でも、自分一人で、その順番通りに進められるだろうか。」
正直なところ、独学でこの順番を守り切るのは簡単ではありません。
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